自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜
次に美竜が見せたのは、珠美の持っているブランドもののかばんの写真だった。パッと見ただけでは、新品に見えなくはない。

「このデザインのかばんが発売されたのは、今から五年ほど前。被害者は新しいブランドものをよく身につけていたから、かばんだけが古いのは違和感がある。でも、お金がないからかばんを買う余裕がない。だけど、プライドがあるから綺麗に見せておきたい。だから、こんなにも新品に見えるように手入れされている。こういう人は、自分の体のメンテナンスも欠かせない。だから、被害者はサプリメントをほしがっていた。犯人はそれを知っていたため、利用した。普通は疑わないよね。ほしかったサプリメントの中に毒があるなんて。そこまでこの先生が考えると思う?」

美竜の言葉に、刑事はブツブツと小声で何かを言い始める。旬は美竜の推理に驚きっぱなしだった。盗撮されていたことには驚いたものの、今、美竜に助けられている。

「……もう一度、捜査をします」

そう言い、刑事は去っていった。旬はホッと胸を撫で下ろす。
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