自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜
「志賀さん、ありがとうね。でも驚いたよ。志賀さんは刑事ドラマとかであんな推理力を手に入れたの?」

旬が訊ねると、美竜は真剣な表情のまま旬の質問を無視して逆に訊いてきた。

「珠美さんに色々話しかけられたんですよね?どんな話をしていたんですか?」

「話?う〜ん……。昔、ドイツに留学していたこととか、高校生の頃に友達と絶交することになったとか。スタバに行ったこととか、一万円の服を買ったこととか……」

「ありがとうございます」

そう言い、美竜はどこかへ消えていく。何だったんだと旬は首を傾げた。



その日は、珍しく大雨の天気となった。自動車学校の雰囲気はどこか違っている。

美竜が、「犯人がわかった」と言い現場にいた何人もの人が集められたのだ。旬、麗樹、帯人、和恵、などの数人は緊張した顔で美竜の言葉を待っている。

「まず、最初に行わなければならないことがあります……」

美竜は紙とペンを一人ずつ配った。
< 25 / 31 >

この作品をシェア

pagetop