自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜
「そこに、五十音全てひらがなとカタカナ、そして好きな文章を何か書いてください」

突然言われた言葉に、旬たちは目を丸くする。しかし、反論は認めないという空気を美竜は放っており、旬たちは指示に従った。

全員の書いた紙を美竜はチェックし、「なるほど、確信に変わりました。ご協力、ありがとうございます」と微笑む。そしてまた鋭い目に変化させた。

「殺された被害者は、多くの人に恨まれていた。青酸カリの入ったサプリメントを飲まされ、殺された。毒を飲んで自殺するというケースはありますが、自宅で死ぬことが多いと思います。助かりたいと思うのならば、毒で死のうと思わないでしょうし……」

美竜は歩き、珠美のデスクを見つめる。美竜にだけ別の世界が見えているかのように、旬は感じた。

「犯人は、おそらく今まで被害者をあの日に殺そうと長く計画していたわけではなかった。殺したいほど憎んでいたが、被害者に会うことがなくなった。しかし、偶然にも被害者と再会したために殺すことを決めた。犯人は逮捕されることを恐れ、誰かに罪を擦り付けようとした。日本では起訴されれば有罪率は百パーセントに近い。幸いにも、ここには被害者を恨んでいる人物が多くいると犯人はわかった」
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