自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜
旬はそう怒鳴るように言い、珠美から逃げるようにデスクから離れる。麗樹と帯人も珠美を睨みつけ、旬の後に続いた。

珠美は、教官の中で一番めんどくさい人だ。それは教官ならば全員知っている。よく教官同士のトラブルを引き起こす張本人だからだ。

旬は珠美からストーカーまがいのようなことをされ、迷惑している。麗樹と帯人も珠美に迷惑していることがあるのだ。

「伊坂さんと志賀さんだったら、志賀さんの方がマシか……」

旬はそう呟いた。



そして、運転の時間がやって来た。旬は準備をし、「志賀さ〜ん……」と普段より元気のない声で呼ぶ。

「はい!よろしくお願いします!!」

模擬の時と同じように、美竜は笑っていた。旬は「笑顔や態度はいい子なんだよな」と思いながら教習車へと向かう。

「じゃあ、車の周りを確認してから乗って」

「はい!」

車の周りに危険がないかを確認し、乗り込む。座席の高さなどを調節し、美竜はエンジンをかけた。ここまでは普段の運転と変わらない。
< 7 / 31 >

この作品をシェア

pagetop