自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜
「じゃあ今日は、ぐるっとコースを回った後にS字とクランクを中心に練習していきます」

「はい!」

薄暗くなってきたため、ライトをつけるように旬は言う。そして車はゆっくりとーーー動かなかった。美竜は思い切りアクセルを踏んだため、加速した状態のまま車庫から飛び出していく。

「ちょぉぉぉぉぉぉ!!ストップ、ストップ!!」

旬は慌てて自分の足元にあるブレーキを踏む。急ブレーキだったため、ガクンと体が前後に大きく揺れた。シートベルトをしていなかったら大変なことになっていただろう。

「志賀さん、周りを確認せずにしかも急に飛び出すなんてダメ!!もう少しで他の教習車にぶつかるところだったんだからね!?」

旬がそう言うと、「すみません。ブレーキのつもりがアクセル踏んでました……」と美竜は苦笑する。いやいや、笑えねえよと旬は心の中で思った。

それから運転が再開したのだが、旬は他の教官の言葉がよくわかった。美竜の運転はめちゃくちゃだ。
< 8 / 31 >

この作品をシェア

pagetop