自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜

S字で脱輪した時に、バックで戻らずに無理やり前進したり（脱輪した時にはチェンジレバーをRにして、後退します）、信号が黄色になっても止まらずに進もうとしたり、（黄色は交差点の中に侵入していない限り、停止できる距離なら停止しなければなりません）、最高速度が四十と指定されているにも関わらずに六十キロを出したり、（標識で指定された速度には従いましょう。標識がない場合は、六十キロでオッケーです）旬は一気に疲れてしまった。

「いや、志賀さんって本当に免許を取るつもりなの？」

授業が終わる時間が近づいたので、旬は車を車庫に入れてから美竜に訊ねる。その声と顔は、誰が見ても疲れ切っているとわかるだろう。

「もちろんですよ！免許を取ったら、まずは高速道路に乗ってあちこち行きたいですね！！あ、それか海外に行って外車に挑戦しようかな〜」

恐ろしすぎる発言に、旬は顔を真っ青にする。そしてふわふわと夢を語る美竜に言った。

「頼むから、免許取り立てで高速道路はやめて！百キロ超える車とか普通にいるし、怖いから！あと、日本で頑張って免許取っても海外では使えないよ？海外でも運転したいなら、国際運転免許の勉強しないと！！」