明日の世界がきみの笑顔で溢れるように。
そう伝えたら、フッと息を洩らして笑ってくれて、大きな目が細まって口はゆるい弧を描いていた。

私はそれだけでじゅうぶんすぎるくらい幸せだったし、きみが笑っているだけで幸せだった。



『ちゃんと伝えたいことがある時は目を見ないと伝わんないよって結くんが教えてくれたんだよ!だからちゃんと目を見て伝えるの!!』




引っ込み思案で人見知りで、ひととうまくコミュニケーションがとれなくて、いっつも下を向いていた私にきみが教えてくれたことだった。



『咲雪はたぶん昔から変わんないんだろうな』
『変わってるもん!身長伸びたし!』

『それで伸びたって昔は米粒くらいだろ?』




お腹を抱えて笑いだしたきみが愛おしくて、大好きで、頬を膨らませて怒ったふりをしたけれど、きみが笑ってくれてよかったって心の底から思ったんだよ。




『拗ねんなって』
『拗ねてないもんっ!』


『『あははは』』



小さな部屋に私たちの声だけが響き渡って、日常の中にたくさんのしあわせがつまっていると気づいた。
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