独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
今日の樹先生は、紺と白のボーダーシャツにジーンズスタイル。シンプルな格好もよく似合っていて素敵だ。
もう、大好き……。
胸を高鳴らせて、彼を熱く見つめた。
「西野さんのことだけど」
「あ、はい」
あまり思い出したくない名前を聞き、夢心地な気分が一瞬で吹き飛んだ。
「実は昨日、仕事が終わってから彼女と会ったんだ」
「えっ? どうして?」
バーベキュー大会が終わってから、西野さんは一度も出社してない。同僚の私が会っていないのに、部外者である樹先生が会うのはどう考えておかしい。
「どうしてって、本当のことが知りたかったからね。西野さん、華のビールに睡眠導入剤を混ぜたことを認めたよ」
「……っ!」
あの急激な眠気は薬のせいだと確信していたものの、いざ真実を突きつけられると激しく動揺してしまう。
人に恨まれることが、こんなに悲しくてつらいものだと知って胸がチクリと痛んだ。
「西野さんには、くるみ薬局を辞めてもらうことにしたから」
「えっ?」