独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
スイートルームで

樹先生がホテルの部屋のドアを開けた。

「入って」

「……はい」

腰に手を回され、エスコートに従って中に入る。

白を基調としたリビングルームはとても広く、大きなソファとテーブル、テレビボードなどの調度品はどれも重厚感があり、さすがスイートルームだと感心してしまった。

しかし、この先どうすればいいのかわからない。

立ったまま戸惑っていると、樹先生が私の脇を通り過ぎ、いきなりシャツを脱ぎ始めた。

「な、な、なんで脱ぐんですか!」

チラリと見えた、割れている腹筋から慌てて視線を逸らす。

「なんでって、このままだと風邪を引くからね。それより早くシャワー浴びて、体を温めておいで」

樹先生は普段となにも変わらず落ち着き払っている。

ホテルに行くことに反対しなかったのは、一刻も早く濡れた服から解放されたかったから。でも部屋にふたりきりだと思うと緊張が増して、心臓が激しく波打つのを抑えることができない。
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