独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする

シャワーを浴びて大きなバスタブに体を沈めると、冷えていた指先がじんわりと温まった。

本当だったら今頃は、中華料理に舌鼓を打っていたはずなのに……。

未練がましくため息をつきながら、バスルームの窓を見つめた。

雷は鳴りやんだけれど、雨はまだ降り続いている。

予想外のハプニングに見舞われたものの、雷を怖がる私を気遣ってくれた樹先生は頼もしかったし、濡れた髪を掻き上げる仕草はとてもカッコよかった。

普段ではなかなか見られないレアな姿を思い返し、ひとりでニヤけた。

しかし、のんびりしている場合じゃない。樹先生もシャワーを浴びて温まらないと風邪を引いてしまう。

バシャリと音をあげて勢いよく立ち上がると、バスルームから出た。

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