独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
下着の上にバスローブを羽織っただけでは、なんとも心もとない。
鏡に映った自分の姿を見て顔をしかめた。でも着る物が、これしかないのだから仕方ない。
脱いだ服を手にすると、樹先生のもとに向かった。
「あの……。お待たせしました」
ソファに腰かけている樹先生に声をかける。
「よく温まった?」
「はい」
すでにバスローブに着替え、脚を組んでいる姿はとてもリラックスしているように見える。
「じゃあ俺もシャワーを浴びてくるよ」
「はい」
バスルームに向かう後ろ姿を見つめた。
樹先生はホテルの部屋にふたりきりでいることも、シャワーを浴びることも、そして私のバスローブ姿も、なんとも思ってない。
たしかに私は童顔だし、スタイルもいいわけじゃない。でも少しくらい、意識してくれてもいいのに……。
女性としての魅力に欠ける自分が嫌になる。
ああ、もう余計なことを考えるのはやめよう!
ウジウジした気持ちをなぎ払い、奥に見えるベッドルームに向かった。
間接照明がほのかに灯る室内に入る。
「うわっ、キングサイズだ……」
シワひとつなく、綺麗に整えられたベッドがなんとなく気恥ずかしい。