独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
慌てて視線を逸らすと、脇にあるクローゼットを開けた。
中には樹先生の濡れた服が、すでにかけられている。
きちんとしてるな……。
服を脱ぎっぱなしにする父親とは違い、几帳面な樹先生に感心しながら自分の服をハンガーにかけた。
服が乾くまで、このスイートルームに樹先生と一緒にいられる。
いったい、どれくらいで乾くのかな……。
頭をひねってみても、まったく見当がつかない。
バスロープ姿には慣れないけれど、誰にも邪魔されないふたりだけの時間を過ごせるのはやはりうれしい。
胸をワクワクさせながらリビングに戻った。
ほどなくすると、樹先生がバスルームから出てきた。
首にかけたタオルで髪を拭いている仕草はとてもセクシーで、思わず視線が釘づけになってしまう。
「ん? なに?」
「い、いいえ。なんでもないです」
見惚れていたことを誤魔化すために、慌ててうつむいた。
「お腹空いただろ? なにか頼もう」
樹先生がメニューを手に取り、ソファに座る。
「はい」
水族館でランチをしてからなにも食べておらず、腹ペコだ。