独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
どんな料理があるのかな……。
樹先生の隣に腰を下ろし、ピザやサンドイッチのような軽食からステーキのメイン料理まで揃っているルームサービスのメニューを興味深く見つめた。
「シャンパンを飲もうか」
「でも……」
今日は車で横浜まで来た。私は免許を持っていないし、樹先生がお酒を飲んでしまったら帰れなくなってしまう。
「今日はこのまま泊まらない?」
樹先生が私の耳もとに唇を寄せてささやいた。
「……えっ?」
耳にかかった熱い吐息と甘い誘いにクラクラしてしまい、あらぬ妄想が頭に浮かんだ。
割れている腹筋をあらわにした樹先生が、ベッドに横になる私の唇にくちづけを落とす。
「華……」
低い声で名前を呼ばれ、大きな手がバスロープの結び目に触れて……。
きゃ~! 無理、無理。絶対に無理! そんなことになったら心臓が破裂しちゃう!
桃色の幻想を、慌てて頭から振り払った。
「なにもしないよ。俺が信じられない?」
樹先生が瞳を細めてクスッと笑う。