独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
ふたりだけのディナーが終わり、ソファに移動して他愛ない会話をしてくつろぐ。
結婚したら、毎日こんな風に楽しい時間を過ごせるのかな……。
そう遠くない将来の生活に期待が膨らんだ。
頭と体がフワフワして気持ちいい……。
今日は帰りの心配をしなくていいと思ったら気が緩み、今になってシャンパンの酔いが回ってきたようで、次第に瞼が重くなってきてしまった。
「眠くなった?」
「……いいえ」
まだまだ話足りない。
首を左右に振る。
「でも、とても眠そうだよ」
「……っ!」
樹先生の手が伸びてきて、頬にそっと触れた。
好きな人の体温を感じてしまったら、平常心ではいられない。
頬がカアッと熱くなり、一瞬のうちに眠気が吹き飛んだ。
「すごく温かいな。寝室に行こうか」
「あ、はい」
あのキングサイズのベッドで一緒に眠るときが、とうとう訪れてしまった!
ドクドクと音を立てる心臓をうるさく思いながら、樹先生に続いてソファから立ち上がった。
大丈夫。悲しいけれど、私は女性として見られていない。ひとつのベッドで朝まで眠るだけで、なにも起こらない。
張り詰めた気持ちを心の中で必死になだめる私に、樹先生が向き合った。