独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
えっ? なに?
突然目の前に立たれて戸惑っていると、背中と膝の裏に逞しい腕が回る。
「よっ」
小さなかけ声とともに、体が宙にふわりと舞い上がった。
これって、お姫様抱っこだ!
樹先生に抱きかかえられるのは今回で二度目だけど、前回はお酒に酔って眠っていたため記憶にない。
「ほら、掴まって」
「……はい」
思いがけないお姫様抱っこをうれしく思いつつ、樹先生の首に両手を回した。
密着した体が気恥ずかしくて、顔を上げることができない。うつむいたまま心地いい揺れに身を任せていると、ほどなくしてベッドルームに着いた。
ベッドに下ろされ、スプリングが波打つ。その拍子にバスロープの裾がハラリとめくれて、太ももがあらわになってしまった。
「あ、ごめん」
「い、いいえ」
あたふたして裾を直し、急いでベッドの中に体をすべらせた。
うう、恥ずかしい……。
あられもない姿を見られてしまった羞恥を隠すために、鼻先まで布団を引き上げる。
樹先生はどう思っているのかが気になり、チラリと様子をうかがった。