独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
雨に打たれて濡れてしまった服も無事に乾き、着替えを済ませると朝食をとるためにレストランへ向かった。
ふっくらとしたオムレツは口の中でとろけ、焼き立てのクロワッサンはサクッとしてとてもおいしい。
窓から見えるマリンタワーと横浜ベイブリッジを眺めて、樹先生とひと晩をともに過ごした喜びを噛みしめる。そしてホテルをあとにすると、約束通り中華街に繰り出した。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
樹先生が買ってくれたタピオカミルクティーを受け取り、ひと口味わう。もっちりとしたタピオカの食感を楽しんでいると、カップを持つ右手首を不意に掴まれた。
えっ?
なにが起きたのかわからず戸惑う私の目の前で、樹先生が腰を屈めてストローに唇を寄せる。
「あっ」
私が口をつけたばかりのストローからミルクティーを飲む姿に驚き、思わず声をあげてしまった。
「初めて飲んだけど、おいしいね」
樹先生が姿勢を正して微笑む。