独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「えっ? あ、そうですね」
まさかの間接キスで動揺してしまい、返事がぎこちなくなってしまった。
「飲まないの?」
カップを持ったままボンヤリする私を見て、樹先生がクスッと笑う。
口角がニヤリと上がる様子を目にしたら、からかわれているのだとすぐに気づいた。
あたふたする私を見ておもしろがろうとしても、無駄なんだから……。
「の、飲みますよ」
強気で言い返し、平静を装ってストローに口をつけた。
「間接キスだね」
耳もとでハッキリ言われるのはさすがに照れくさくて、我慢も限界に達してしまった。
「もう、意地悪なんだから!」
「ごめん、ごめん」
樹先生がハハハッと笑う。
頬を膨らませて猛抗議してみても、陽気な笑い声は止まらない。
楽しそうな笑顔が見られるのなら、からかわれるのも悪くないかな……。
そう思いながら、照りつける太陽のもとで微笑み合った。