独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
中華街を散策した後は、みなとみらいまで足を伸ばし、様々なショップを見て回って帰路に着いた。
楽しかったデートも、これで終わりか……。
一緒に過ごした二日間が楽しかった分、離れがたいと思ってしまう。
車の窓の外に広がる見慣れた白金の風景を眺めて、小さなため息をついた。
「明日は友だちと会うんだっけ?」
前からの約束通り、明日は美咲とランチをする予定になっている。
「はい。樹先生は?」
「俺は病院に顔を出してこようと思ってる」
「そうですか」
きっと入院患者さんの様子を診に行くのだろう。
夏季休暇中でも完全に休めないお医者様の仕事は、やっぱり大変だな……。
忙しい樹先生の体調を気にかけていると、あっという間に家の前に到着してしまった。
「夕方までに仕事を終わらせるから、その後会えないかな?」
「はい!」
思いがけない誘いがうれしい。
別れるのがつらくてしょんぼりしていたことが嘘のように、テンションが一気に上がった。
「はい、これ」
「……?」
目の前にカードが差し出される。受け取ったものの、それがなんなのかわからずキョトンとしてしまった。
「なるべく早く帰るから部屋で待っていてくれる?」
話を聞いているうちに、このカードがマンションの鍵だということを理解した。
こんな大切な物を預けてくれるなんて……。