独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「また連絡する」
「うん。じゃあね」
自由が丘駅で美咲と別れ、樹先生のマンションがある赤坂に向かった。
ランチを終えて駅前の雑貨店などを美咲と見て回った楽しい時間を思い返し、そしてこれから樹先生と過ごす時間に思いを馳せる。
そうこうしていると、赤坂駅に到着した。
マンションの途中にあるスーパーに寄って夕食の食材を買い込む。今日作るのは夏野菜のキーマカレー。デザートにはレアチーズケーキを出すつもりだ。
「お、重い……」
食材が入った袋は予想以上に重い。
主婦って大変だよな……。
汗を掻きながら足を進めていると、ようやくマンションに着いた。
「ふう」と息をついてエントランスに入る。荷物を床に置き、バッグからカードキーを取り出してロックを解除した。
なんだか一緒に住んでいるみたい……。
顔が勝手にほころんでしまう。でも、ひとりでニヤついている姿を住人に見られたら怪しまれてしまいそうだ。
口もとをキュッと引きしめ、袋を持ってエレベーターに乗り込むと樹先生の部屋がある最上階へ向かった。
「お邪魔します」
カードキーをかざして玄関のドアを開けて中に入る。