独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
誰もいないのはわかっていても、黙って上がり込むのは気が引けてしまい、小さな声で挨拶した。
脱いだ靴を揃えて廊下を進み、キッチンの調理台に荷物を置く。四人がけのテーブルがあるダイニングには対面式のシステムキッチンがあり、奥には大きな冷蔵庫と電子レンジなどの家電製品が並んでいる。
そしてダイニングと繋がっているリビングにはゆったりとしたソファとテーブルが、その前には大きな薄型テレビとボードが配置されている。
寝室は玄関を入ったすぐ横にあり、ひとりで生活するにはこのマンションは広すぎるくらいだ。
結婚したら、ここに引っ越してきていいのかな……。
綺麗に片づけられた室内を見回しながら、ふたりだけの生活を想像してみた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
どちらからともなく唇を近づけると、キスを交わす。そして体がふわりと宙を舞った。
「寝室に行こうか?」
私を見つめる樹先生のまなざしが熱を帯びている。
「夕食は?」
「先に華を味わいたい」
「……はい」
コクリとうなずくと、横抱きされたまま寝室に向かって……。それから……。
それから、どうなるんだろう……。