独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
甘い新婚生活をイメージしてみたものの、その先の経験がないため妄想も長く続かない。
でも、いつか私も樹先生と……。キャ~! 恥ずかしい!
誰にも見られていないのに、火照った顔を両手で隠した。
それにしても、暑いな……。
我に返り、額に掻いた汗をハンカチで拭う。
暑さを感じるのは桃色の妄想をしてしまったせいだと思ったけれど、エアコンをつけてないからだとすぐに気づいた。
辺りをキョロキョロと見回すと、ボードの上にあるリモコンが目に留まる。スイッチを入れてソファに座り、涼しい風にしばらくあたった。
よし、まずはレアチーズケーキを作ろう。
気合いを入れてソファから立ち上がると、キッチンに向かった。
持ってきたエプロンを身に着け、クリームチーズと砂糖、生クリームを混ぜ合わせる。
やっぱり、お菓子作りは楽しいな……。
後は冷やし固めるだけのチーズケーキを冷蔵庫に入れた。
次はカレーだ。
買ってきた野菜を袋から取り出して洗う。するとカチャッという音が玄関から聞こえてきた。
樹先生だ!
パタパタと足音を立てて玄関に行くと、樹先生が靴を脱いで家に上がった。