独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
あっ、と思ったときにはソファに押し倒され、仰向けになっていた。白い天井をバックに、私を見下ろす樹先生の姿が見える。
ま、待って。心の準備が……。
この先、キス以上のことが起きるのではないかという思いが脳裏をかすめる。
明かりが点いたままでは恥ずかしい……。
けれど、そんなことを思っていられたのは初めのうちだけだった。
瞬く間に塞がった唇から吐息を漏らし、夢中でキスに応える。深みが増すくちづけに翻弄されていると、熱い舌で閉じていた唇をこじ開けられてしまった。
これって、大人のキスだ……。
どうしたらいいのかわからず、なすがままでいると舌を絡めとられてしまう。
情熱的なキスを受けているうちに全身の力が抜けてしまい、広い背中に回していた腕がダラリとソファから落ちた。
私の異変に気づいた樹先生の動きが止まる。
「ちょっと刺激が強すぎたみたいだね。大丈夫?」
「……ご、ごめんなさい」
「俺のほうこそ、無理させてごめん」
涙目で首を左右に振る私を、樹先生が力強く抱きしめてくれる。
うれしかったのに……。もっと触れ合っていたかったのに……。
なにをされたってかまわないと思っているのに、求めてくれる気持ちに応えられないことが心苦しかった。