独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
バレンタインデーの翌日の昼休み。食堂で昼食をとっていると、隣の席に誠が腰を下ろした。
「華となにかあった?」
「えっ?」
「急に塾に通うって言い出したからさ」
誠が納得できないという表情を浮かべた。
そうか。もう白金の家には来るなってことか……。
俺を拒否する決断を聞き、胸に痛みが走った。
でも仕方ない。敏感な年頃の少女の心を傷つけてしまったのだから……。
「力になれなくて悪かったな」
「あ、いや。そういうことじゃなくて……」
「ごめん。お先に」
誠の話を遮ると、早々と食堂をあとにした。
本命チョコだと言ってくれた彼女の思いを、うやむやなままにしていいのかという罪悪感に苛まれる。
しかし、彼女はまだ中学生で……。
答えが見つからないことが歯がゆい。
こうなったら、彼女が高校を卒業するときに告白しよう。
そう決めると、少しだけ心が落ち着いた。
けれど薬科大学に合格したと聞いても、未成年の彼女に告白していいものなのか悩んでしまった。
そうだ。二十歳になるまで待とう。
そう決意したものの、誠から毎日遅くまで勉強していると聞いてしまうと覚悟が鈍る。