独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする

学業の邪魔はできない。これは、大学を卒業したらだな。

そう決心すると、彼女が六年制の薬科大学を卒業するのをひたすら待った。

そして病院にほど近い、くるみ薬局に内定したことを知る。

仕事の合間を縫って、四月から勤務が始まった彼女に会いに薬局へ通った。

「どう? 仕事は」

「まだ慣れなくて、大変です」

苦笑いをする彼女を見て思う。

社会人になったばかりの今、負担をかけるべきじゃない。仕事に慣れるまで待ったほうがいい。

そう思っていた矢先、顔を赤くした彼女が、見ず知らずの男にもたれかかっている姿を目撃した。

なにかと理由をつけては、告白するのを先延ばしにしていたヘタレな自分が腹立たしい。

どこの馬の骨ともわからないヤツに盗られるのを、指をくわえて見ている場合じゃない。こうなったら好きだとか、付き合ってほしいなどと、悠長なことなど言っていられないな……。

「俺と結婚してほしい」

彼女の気持ちがまだ俺に残っていることを願いながら、強引に話を進めた。

* * *

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