独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする

「樹先生って、私を好きなの?」

「あたり前だろ。だからプロポーズしたんだし……」

樹先生が整った髪をクシャリと掻き上げた。

嫌われているとは思ってないし、大事にされているという実感もある。けれど私は過去にフラれている。

「でもチョコを受け取ってもらえなかったし……」

悪夢のバレンタインの出来事を蒸し返すと、樹先生が人差し指で鼻先を掻いた。

「あのときチョコを受け取らなかったのは、俺なりの誠意を示したつもりだったんだけどな」

「誠意?」

バレンタインデーの悲しみは、何年経っても胸に燻り続けて消えない。それなのに、チョコを受け取らなかったのは『誠意』だと言われても納得できない。

「あのとき華はまだ中学生だったろ。さすがに、そういう仲になるのはマズいと思ってチョコを受けるのを我慢したんだ。本当は喉から手が出るほどほしかったんだけどね」

「えっ?」

衝撃的な告白はまだ終わらない。

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