独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「高校を卒業したら、二十歳を過ぎたら、大学を卒業したらって、何度も告白しようとしたんだけど……。華のことになると臆病になってしまうから困るよ」
樹先生が苦笑する姿を黙って見つめ続けた。
「でも酔って加藤君にもたれかかる華の姿を見てすごく焦った。早く俺だけのものにしないと、ってね」
私を見つめてニコリと微笑んでくれたものの、すぐに視線を逸らされてしまった。
もしかしてこれって、照れているんじゃない?
どんなときも冷静沈着な彼が恥ずかしがる姿を見るのは初めてで、胸がキュンと締めつけられた。
それにしても、あの性急なプロポーズにそんな理由があったなんて……。
ずっと前から相思相愛だったことが、いまだに信じられない。
「よかった。次期副院長の座を狙っているわけじゃなかったんだ……」
「ん? なに?」
樹先生に顔を覗き込まれて、心の声が口から漏れていたことに気づいた。
「い、いいえ。なんでもないです」
誠実な彼を疑ってしまったことに後ろめたさを感じながら、慌てて首を左右に振った。