独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
樹先生の顔がゆっくり近づいてくる。
「華、好きだよ。一生大切にする」
耳もとで甘い言葉をささやかれ、心と体が一瞬でとろけるのを自覚した。
「私も大好きです」
お互いの目を見つめて、長い間、胸に抱き続けていた思いを伝え合えた喜びに浸る。
「参ったな……。今すぐ抱きしめてキスしたいんだけど……」
樹先生の指が、左薬指に輝くエンゲージリングに触れた。
求められるのはうれしいけれど、ひと目につく場所でイチャついているところを、誰かに見られては恥ずかしい。
「こ、ここでは困ります」
「うん。わかってる。あのさ……今度の土曜日の夜なんだけど……。急いで仕事終わらせて帰るから、うちで待っててくれないかな?」
上目づかいでおねだりするように言われたらNOとは言えないし、抱き合ってキスしたい気持ちは私も同じだ。
「はい。待ってます」
「ありがとう」
土曜日を待ち遠しく思いながら、お互いの指を強く絡ませ合った。