独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
チョコレートにおまんじゅう、クッキーにおせんべいなど、たくさんのお菓子がリビングのテーブルの上にズラリと並んだ。
私が買ったマカロンが、かすんで見える量に驚く。
忙しい樹さんをわざわざホテルまで呼び出したことも、私がマカロンを買ったのを知っていながら、たくさんのお菓子をよこしてきたことも、私たちの仲をギクシャクさせるために仕組んだことに違いない。
「いらない」
「ん?」
「綾香さんがくれた物なんか、いらない」
目の前のお菓子から視線を背けた。
「華。厚意に対して、そんなことを言ったらダメだろ」
樹さんが静かに私を諭す。
彼の言うことは正論だけど、嫌がらせされたのに感謝などできない。
「……どうして綾香さんの肩を持つの?」
「別に肩を持ったつもりはないよ」
樹さんが髪をクシャリと掻き上げて、ソファに深く座り込こんだ。
その様子は苛立っているように見える。きっと、樹さんを責めるような言い方が気に入らなかったのだろう。
綾香さんが絡むと、いいことない……。