独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「悠太君!」
病院の敷地を出ると駅に続く歩道を走る。けれど辺りを見回しても、悠太君の姿は見つからない。
どこに行っちゃったの?
ひとりで心細い思いをしているのではないかと考えただけで、胸が苦しなってしまった。
太陽は沈み、気温も下がってきている。
一刻も早く見つけて、綾香さんのもとに送り届けなくちゃ……。
「悠太君!」
再び声をあげて足を進めた。するとコンビニから出てくる親子連れが目に留まる。
そうだ。お店の中にいるかもしれない。
急いで中に入り、通路を見て回った。
「白石?」
聞き覚えのある声を聞いて立ち止まると、目の前に加藤君の姿があった。
「ねえ、ひとりでいる男の子を見かけなかった?」
藁にもすがる思いで尋ねる。
「いや、見てないけど……。なにかあったのか?」
「入院していた知り合いの子供が、病室からいなくなっちゃって……」
コンビニにもいなかった……。
ガクリと肩を落として外に出た。
「俺も捜すよ」
落ち込んでいる場合じゃない……。
ありがたい申し出を心強く思いながら、加藤君を見上げた。