独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「ありがとう。名前は平岡悠太君。小学一年生で、きっとパジャマ姿だと思う」
「わかった。なにかあったら連絡する」
「うん。お願い!」
加藤君が裏通りの方角へ走っていく。
大丈夫、きっと見つかる……。
自分を励ますように大きくうなずき足を踏み出すと、今度は背後から声をかけられた。
「華!」
この声は樹さんだ。
振り返ると、樹さんがこちらに向かって走ってきた。
「悠太君のこと聞きました」
「そうか。病院の周りは捜したんだけど……」
樹さんが息を切らして言う。
病院にも、その周辺にもいないとなると……。
小学一年生の男の子が行きそうなところを必死に考えていると、ある場所が頭に浮かんだ。
「あ、公園……。大通りを渡った先に公園がありましたよね」
「行ってみよう」
「はい」
公園に向かって走り出す。けれど脚の長さも違うし、マラソン大会でビリになったほど私は足が遅い。どうしたって距離が開いてしまう。
「大丈夫?」
後れを取った私に気づいた樹さんが足を止めた。