独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
しばらくして目を覚ました悠太君と、少しだけ会話を交わして病室をあとにした。
それにしても手術が成功して本当によかった……。
ホッと息をついて廊下を進む。
樹さん、まだ病院にいるかな……。
安心したら無性に会いたくなってしまい、そのまま医局に向かった。けれど今日は手術もあって疲れているだろうし、急用でもないのに呼び出しては迷惑をかけてしまう。
今になってそんな思いが込み上げてきてしまい、足を止めた。
やっぱり、このまま帰ろう……。
踵を返して早足で出口に向かう。すると通路の角を曲がった先で白衣姿の男性とぶつかりそうになってしまった。
「す、すみません!」
慌てて頭を下げると、聞き覚えのある声が耳に届いた。
「華?」
「樹さん!」
まさかバッタリ会うとは思っておらず、目を丸くして樹さんを見上げた。けれど、驚いたのは私だけじゃなかったようだ。
「こんなところで、なにしてるの?」
二重の瞳を大きく見開いてじっと見つめられたら、なんだか急に恥ずかしくなってしまった。