独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「一生に一度のことだ。遠慮することはない」
「……っ!」
まるで心を透視したような言葉を聞き、目を見張る。
「俺はこのリングが一番似合うと思ったけど?」
樹先生がクスッと笑い、三番目に試着したものを指差した。
「実は私もこれがいいなって思っていたんです!」
興奮気味に声をあげた。
ハートモチーフのダイヤモンドが光るリングはとてもかわいくて、ショーケースに収まっているときから気になっていた。
けれどシンプルなデザインのリングに比べると、子供っぽいように思えて言い出せずにいたのだ。
「だったら、これにしよう」
「はい。ありがとうございます」
自分が気に入ったものと、似合うと言ってくれたものが同じだったことをうれしく思いながら樹先生と微笑み合った。