独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
食事を終えて家に帰ると、バッグからスマホを取り出しベッドに腰を下ろした。
今日のお礼を伝えたいけれど、仕事中だったら迷惑かけてしまうかもしれないし……。
連絡することを躊躇っていると、手にしていたスマホにメッセージが届いた。
【今、そっちに向かっている。あと十分ほどで着く】
えっ、嘘っ!
思いもよらないメッセージを読んで一瞬慌てたものの、再び会えることがうれしい。
それにしても、いったいなんの用があるのだろう……。
【わかりました。待ってます】
短い返信を済ませると鏡の前に立ち、急いで身なりを整えた。
ガレージの前で到着を待っていると、タクシーが角を曲がってくるのが見えた。
ヘッドライトの明かりを消したタクシーが目の前に停まる。
「今日は本当にすまなかった」
後部座席から降りてきた樹先生の眉尻が下がっているのが、暗がりでもわかった。
急な呼び出しで疲れているはずなのに、わざわざ謝りにきてくれたんだ……。
思いやりにあふれた気遣いがうれしくて、胸がキュンと締めつけられた。