独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
西野さんと別れて家に帰ると、ベッドにポスンとダイブした。
『就職先も結婚相手も好きに選べて』という西野さんの言葉が、今も頭にこびりついて離れない。
あんな嫌味など気にすることないし、早く忘れたほうがいい……。
大きなため息をつくと、スマホが音を立てた。
ベッドから起き上がり、バッグの中からスマホを取り出す。
「えっ? 樹先生?」
さっき会ったばかりなのに、どうして……。
驚きつつ、急いで応答ボタンをタップした。
「もしもし」
『俺だ。今大丈夫?』
「はい。樹先生はもうお仕事終わったんですか?」
『いや、まだだ』
「……そうですか」
忙しい樹先生の体調を気にしながら耳を澄ませた。
『……なにかあった?』
「えっ?」
『声に元気がないから』
まだ少ししか会話を交わしていない。それのに、私が落ち込んでいると気づいてくれるなんて……。
驚きで一瞬息が止まった。
西野さんとの間にあった出来事をすべて話し、慰めてもらいたい衝動に駆られてしまう。