独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
でも仕事の邪魔になるようなことを言うべきじゃないし、陰口をたたくのは卑怯だ。
「そ、そんなことないですよ」
わざと明るい声を出すと、精いっぱい強がった。
『そう? なにかあったら、すぐ俺に言うこと。いいね?』
「はい」
頼りがいのある言葉を心強く思った。
『じゃあ、そろそろ仕事に戻るよ』
「えっ? なにか用があったんじゃないんですか?」
仕事の合間を縫って連絡してきたのに、たいした話もせずに通話を終わらせようとすることに驚いてしまった。
『いや。華の声が聞きたくなっただけだから』
「……っ!」
冷静な声とはアンバランスな甘い言葉がくすぐったい。
スマホをあてている耳が瞬く間に熱を帯びるのを実感した。
『じゃあ、おやすみ』
「は、はい。おやすみなさい」
私の小さな変化を見逃さず、さりげなく気にかけてくれた優しさがうれしい。
やっぱり、大好き……。
スマホを握ったままベッドにパタンと体を横たえていると、手にしていたスマホが音を立てた。