独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
「へえ、それはビックリだね。でも、おめでとう」
「ありがとう。でも職場の先輩に、親が病院の院長だと就職先も結婚相手も好きに選べていいわよねって、嫌味を言われちゃって落ち込み中」
「うわぁ、言うね。その先輩」
「うん」
切り分けたピザにかじりついた美咲が顔をしかめた。
「その先輩に言われたことは気にすることないよ。でも嫌がらせがエスカレートするかもしれないから注意したほうがいいね。そのときは樹先生に相談しな。いいね?」
同じ歳なのに、姉御肌な美咲はやっぱり頼りになる。
「うん。そうする」
モヤモヤしていた気持ちが、美咲のひと言でスッキリした。
やっぱり友だちっていいな……。
なんでも相談できる美咲の存在を心強く思いながら、酸味が利いたトマトソースと、弾力のあるモッツァレラチーズのバランスが絶妙なピザをパクリと頬張った。