独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
なんだか、ものすごい疎外感……。
再会を喜ぶ気持ちに寄り添えない心の狭い自分にがっかりしていると、樹先生の腕が腰に回った。
「こちらは婚約者の白石華さん。親への紹介が終わって、今から東京に帰るところなんだ」
迷うことなく『婚約者』と言ってくれたことがうれしくて、沈んでいた気持ちが少しだけ和らいだ。
彼女と目が合い、その視線が私の爪先から頭へと移動する。
嫌な感じ……。
品定めするような視線を不快に感じながら挨拶をした。
「はじめまして。白石華と申します」
「平岡綾香です。この子は息子の悠太。悠太、ご挨拶は?」
彼女が促すと、男の子が頭をペコリと下げた。
「こんにちは!」
元気いっぱいに挨拶する姿がとてもかわいらしい。
「こんにちは」
悠太君の目線に合わせてしゃがみ込む。
小さな子と接するのは、姪っ子の日菜ちゃんくらいだ。だから悠太君が何歳なのか、ちっともわからない。
幼稚園生? それとも小学生?
日菜ちゃんより、はるかに背が高い悠太君を見て悩んでいると、綾香さんの声が頭の上で響いた。