独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
赤坂から白金の家まで車で二十分もかからないはずだ。それでも、わずかな時間でも会えるのはうれしい。
「それから夏休みの予定はどうなってるの?」
再来週になれば、夏季休暇が始まる。
「薬科大学時代の友だちと会うくらいで、ほかにはとくにないです」
今日の報告を兼ねて、美咲と会う約束を交わしている。
「その友だちって男?」
「いいえ。女子です」
「それを聞いて安心した。楽しんでおいで」
「はい」
さっきから加藤君や友だちのことを気にするのは、どうして? ヤキモチだったらうれしいな……。
頬を緩めながら、そんなことをひとり考えた。
「ほかの日は空いてる?」
「はい」
「だったらデートしようか?」
「はい! します!」
薬局の休みは、病院の夏季休暇に合わせて組まれている。だから樹先生の休みも私と同じだ。
「どこに行きたい?」
夏らしく浴衣を着て花火大会に出かけてみたいし、涼しい映画館で過ごすのもいいよね……。
樹先生と一緒なら、どこへ行っても楽しそうだから困ってしまう。
「どこがいいかな……」
期待に胸を膨らませて、ふたりで行き先を考えた。