独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
波乱のバーベキュー
樹先生のご両親に挨拶してから一週間が経った日曜日。今日はバーベキュー大会の日だ。
【飲みすぎに注意して楽しんできて】という樹先生のメッセージに【はい。気をつけます】と返信すると、家を出た。
「乾杯!」
幹事の音頭で、ビールが注がれたジョッキを一斉にガチンと合わせた。
赤坂プラチナガーデンの屋上バーベキューテラスからは、東京タワーが綺麗に見える。
野外で飲むビールはひと味違うような気がしておいしい。でも樹先生に『飲みすぎに注意して』と、釘を刺された。
今日はお肉をたくさん食べることにしよう。
ひと口だけビールを飲んでジョッキをテーブルに置いた。すると加藤君に声をかけられた。
「来週の夏休みだけど、どこか行かない?」
誘いはうれしいけれど、すでに予定は決まっている。
「ごめんね。ほかに約束があって……」
「そうか、残念。また今度、飲みに行こうぜ」
「うん」
短い会話を終わらせると、加藤君がバーベキューコンロの前に立った。
ぼうっとしている場合じゃない。私も手伝わなくちゃ……。
そう思った矢先、西野さんに肩をトントンと叩かれた。