独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする

「白石さん、ちょっといい？」

「あ、はい」

西野さんとは、ギクシャクしたままだ。この機会に誤解を解きたいと思い、彼女について行った。

バーベキューコンロから少し離れた席に、ふたりで腰を下ろす。

「この前はごめんね。大人げなかったって思ってる」

西野さんが言う『この前』とは、カフェで樹先生の話をしたときのことだ。

彼女が樹先生を気にかけていると知っていたのに、プロポーズされたと口走ってしまった。

「私のほうこそ、驚かせてしまってすみませんでした」

配慮が足りなかったと反省して頭を下げた。

「ううん、気にしないで。仲直りの乾杯しよ？　ね？」

「はい」

ビールが注がれたグラスが差し出される。

私を避けていたとは思えない気さくな態度に戸惑ってしまった。でも以前のように笑い合える関係に戻れるのはうれしい。

グラスを受け取り、カチンと合わせた。

「乾杯」

「乾杯」

飲みすぎには注意したいけれど、この状態では断れない。

一杯だけなら酔わないよね……。

そう思いながら、ビールに口をつけた。

「ねえ、結婚式はいつ？」

「まだ決まってないんです」

「そうなんだ。日取りが決まったら教えてね」

「はい」

私たちの結婚を心から喜んでくれているようだ。