独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする
西野さんの笑顔を見てホッと胸をなで下ろしていると、加藤君がお肉と野菜が盛りつけられたお皿を目の前のテーブルに置いてくれた。
「どうぞ」
「ありがとう」
「ジャンジャン焼くから、モリモリ食べてよ」
「うん」
こんがりと焼けたお肉はとてもおいしそうだ。
「加藤君、ちょっといい?」
「あ、はい」
コンロに戻っていこうとする加藤君を、西野さんが呼び止める。
イスから立ち上がり、数メートル離れた場所に移動して話を始めたふたりを複雑な思いで見つめた。
この場から移動したのは、話を私には聞かれたくないからだよね。もしかしたら悪口だったりして。嫌な感じ……。
ヒソヒソと話をするふたりに対して不満が募り、ビールをグイッと飲んだ。すると突然、体が鉛のように重く感じ始めた。
もしかして、もう酔っ払っちゃったのかな……。
ビールが半分残っているグラスをテーブルに置く。
連日の暑さにはうんざりしているけれど、よく眠れているし食欲もあって調子はよかった。それなのに、こんな急に体調が変になるのはおかしい。これは酔ったのではなくて、なにかの病気なのかもしれない……。
心の中で不安と恐怖が大きく膨らんでしまった。