真田くんはプレイボーイ
逃げるようにいなくなった4人
通学路で1人になった俺は
落ちてたビニール袋を拾い上げる
ゼリーが二つ入っていた
『病み上がり
気を抜いちゃダメだよ!』
北野の斜め上がりの綺麗な字でそう書かれていた
「北野…」
なんで気が付かなかったんだろう
どんなに可愛い女の子達に囲まれても
ベットに倒されても
そんな気分にならなかったのは
俺が1人の女の子を特別に見ていたからだったんだ
ずっとそんな気持ちになったことなんてなかったから
最初自分に異変を感じた時、北野を遠ざけた
しつこいからなんかじゃない
北野が走ってくるのが嬉しくて、お弁当を作ってきてくれたのが嬉しくて
無駄にテンション高くて、ポジティブなところも全部特別で
それに気が付かなかったから話しかけんなとか言って
北野が来なくなって空いた胸の穴を他の女の子で埋めた
でも埋まらなかった
どんなに可愛い子でも、スタイルがいい子でも
俺の心は動かなかった
毎朝、一度だけ目が合う瞬間
その時だけ、
俺の心の穴は消えてたんだ