私が月を支配するとき、貴方は嗤う
SIDE:優





理事長室を出てそのまま屋上に上がった。
屋上は俺らの溜まり場だ。何故か知らないけど屋根もついてるし、何時でも使える。

「将暉」
「分かっています。優のことですから先程の人をハッキングしろ。でしょ?そんなに興味がありますか?」
「あぁ。」
そう短く返事をし、ベンチに座った。将暉は世界No.7のハッカーだ。一人の情報をハッキングするくらい、簡単なことなのだ。いつもは、族関係や、家のことなどで、手伝ってもらっている。

それにしても、アイツは見たことない顔だったが、一瞬で惹かれるほどの何かがあった。
そう。言葉では言い表せない何かが。

女なんかどいつも同じだと思ってたのにアイツだけは全然違う。媚を売ってくるわけでもないし、興味すらなさそうだった。だが、俺はアイツに興味が湧いた。

「優」
数分後ハッキングが終わったのか将暉が声をかけた。
「分かったか?」
「分かったのは分かったのですが、情報が少なすぎます」

将暉から見せられたパソコンの画面には最低限の情報しか乗っていなかった。世界トップ10に入るハッカーがしてこれしか出ないなんて、誰がロック掛けてるんだよ。、


名前  名井 夏 
生年月日  2001年 9月 1日
性別  女
家族構成 父 母 兄

詳細は不明


「何度もハッキングし直したんですが、どうやってもこれしか出てきません。」
悔しそうに言う将暉を見ながらアイツいや、夏のことを考えていた。

アイツのことをもっと知りたい。

夏のことを。もっと________









SIDE:麗







「ふぁー、、」
昔のことを思い出しながらソファーから重たい身を起こす。まだ、脳は睡眠を求めているが、なかなか寝れずに、嫌なことばかりを思い出してしまうから無理やり脳を起こした。

「夏、大丈夫か?」
「あ、ぁぁ。今は麗でいいよ。」
「そうか、、無理するなよ。いつも、無理しすぎてるんだよ。少しくらい頼ってくれよ。」


小さつく呟いた航の声は私に届く前に騒音に消されて呑まれていった。
今日はこれ以上学校に居たくなく航に許可を取り早く帰った。


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