アンバランスな愛情
「なんとなく理解できた?」

警察署を出ると
大河原さんが
私に質問してきた

「わからないことだらけです」

「それでいいと思う
あんたは何も知らないまま
俺に利用されて

疑問が解決しないまま
別れる…それが一番いい

あんたにとって」

「大河原さんだけ悪い人に
なるつもりですか?」

「俺、悪いことしたと
思ってないから」

大河原さんは
笑顔で言う

その笑顔は
とてもすっきりしていた

「ご協力、感謝!
俺ともう会うことはない

あ…でも
探偵の仕事が必要なときは
いつでも言ってくれ

格安で調べるよ」

にぃっと
白い歯を見せた大河原さんは
車に向かった

「送るよ
駅まででいいの?

どこかに旅行するんでしょ?」

「はい」

私は
大河原さんの助手席に
乗り込んだ
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