アンバランスな愛情

「スーちゃんはいないの
…しばらく帰ってこない

さっきスーちゃんから
メールがきたわ

お母さんのこと」

マコは疲れきった顔で
ほほ笑んだ

目の下には
クマがある

頬も少しこけたように見えた

「スミレはどこに？」

「光ちゃんのところよ」

「えっ？」

どうして
俺に何も言わずに光汰のところへ

スミレはまだ
光汰を忘れられない…とか

まさか！

それとも俺より
光汰のほうがよくなったとか？

やっと桜さんから
解放されたというのに

「大丈夫よ
スーちゃんなりに
気持ちを落ち着かせたいのよ」

「マコは？」

「え？」

「光汰が待ってるんじゃないのか？」

「待ってるわけないじゃない
新しい彼女がいるわ」

「勝手な想像だろ？」

「事実よ」

「は？」

マコは寂しく微笑むと
缶ビールを
俺に差し出した

「正直に言うとね
４月に一度
光ちゃんに会いに行ってるの

でも光ちゃんのアパートには
もう可愛い女の子が通ってた

だから
マコは諦めなくちゃね」

「光汰に会ったのか？」

「ううん、会ってない」

マコはソファに座ると
俺の顔を見た

「お母さんの話をして
何があったの？」