アンバランスな愛情
「車だ
この車の見覚えがある」

俺は
桜さんが嬉しそうに乗り込んだ車を
思い出していた

「パソコン、借りるぞ」

俺はネットにつながれているパソコンの
電源をいれた

大河原先輩の父親が経営していた
会社をネット探した

「大河原の息子の復讐劇に
桜さんは
まんまとハメられたんだ

桜さんの不倫相手は
倒産している
社長の多大な借金で」

「ふぅん
ざまあみろって感じ」

マコはパソコンも見ずに
ソファに座ったまま
口を開いた

「スミレも復讐劇に
使われている」

「え?」

「警察でスミレを見た
大河原先輩と一緒にいた」

「先輩?」

「ああ、高校の
テニス部の先輩だった」

「スーちゃん
大丈夫かな?」

「大河原と接点があるって
どうして話してくれなかったんだ」

俺は下唇を噛んだ

「迎えに行く?」

「いや…スミレの帰りを
待つよ」

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