アンバランスな愛情
「ラブホで話をしようか」

「嫌です」

「そう言うと思った」

「じゃあ、人気のないところで
車を停めて…」

「それも嫌です」

「そう言われてもねえ
一応、こっちも気をつかってるわけ

君と話す内容を
他人に聞かれないようにって」

「なら車を走らせながらで
いいじゃありませんか」

「それもそうだね」

大河原さんは
にっこりと笑う

でも
目は冷たかった

その顔は
怖くて
心を許してはいけないと感じた

「単刀直入に言わせてもらうよ

俺の協力者になって」

「は?」

「まあ
質問っぽく言ったけど
強制的に協力してもらうよ

君に拒否権はないってこと」

「意味がよく…」

「わからなくていいんだよ

僕はある人を苦しめたい

それには君が必要なんだ
だから君を使う

それだけだよ」

「あの…」

「質問は受け付けないよ
説明する気もないし」

明るい声とは
裏腹に

大河原さんの顔は
氷のように冷たくなっていった

「答えは?」

「拒否権はないのに
聞くんですか?」

「そっか
でも
返事をしてくれないと

携帯を返す
きっかけができないから」

「はいって言わないと
返してもらえないんですか?」

「もちろん」
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