アンバランスな愛情
動き出す運命

桜の独り立ち

「ただいま」

嬉しそうな声をあげて
桜さんが
返ってきた

鞄を振り回しながら
頬を赤くして

スキップを踏んでいた

俺はベッドから体を出すと
起き上がって

桜さんの姿を探した

「どうしたの?」

「うん?
ちょっと…ね」

「良いことがあったんだ」

「そう
瑛ちゃん、今日は私を抱いて

幸せすぎて
瑛ちゃんにも抱かれたいの」

俺にも?

他の男に抱かれてきたっとことか

「眠いよ
今、何時さ」

俺はベッドの脇に置いてある棚に目をやる
置き時計は
午前2時をさしていた

「お願い」

スーツを脱いだ桜さんは

俺に抱きついてきた

煙草の匂いが
桜さんの髪から
漂ってくる

体からは石鹸の香り

ホテルに行ったのか
それとも男の家に行ったのか

「瑛ちゃん」

「ごめん
他の男の匂いがするから」

俺は桜さんの体を
押して
距離をあけると

ベッドに横になった

「嫉妬してくれてるの?

それも
嬉しいな」

嫉妬じゃないけど
眠いんだ

寝かせてくれ

「それでね…」

桜さんが
何か話しかけていたけど
俺は
眠くて
寝てしまった
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