アンバランスな愛情
食事を終えると
俺と桜さんは家に帰って

ベッドで愛し合った

そこに互いの感情はない

桜さんが今
夢中なのは
若社長の体だ

俺はスミレ

ただ一緒に暮らしているだけ

桜さんは
スミレに俺を獲られたくない

俺は
桜さんからスミレを
守るため

それだけで
体は重ねられる

桜さんが
ベッドで寝てしまった

俺は
居間に行くと
鞄から
写真の入った封筒を出した

今日
一日で
何回この写真を
見つめただろうか

写真を撮られていることに
全く気付かなかった

これを置いた人間は
次に
どんな行動に出てくるのか

俺には予想がつかない

金か?
それとも
他に要求があるのか

ただ俺を苦しめたいだけか

理由や目的が
わからない以上

俺もどうしていいか
わからない

それでも
写真が気になり

何度も
手にとっては
眺めた

眺めては
犯人について
考える

答えは出ない

それでも
考える

スミレに気付かれないように
俺は
この写真を置いたヤツと
決着をつけないと
いけない
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