アンバランスな愛情
写真を鞄にしまうと
俺はベランダに出た

煙草を吸う

上にいく煙を見つめながら

ポケットにいれてきた携帯を
取り出した

『生理痛は平気か?』

スミレにメールする

本当はすべきでないと
わかっているけど

写真が頭からはなれず
スミレが気になった

『もう平気
3日目になれば
痛みは落ちつくから』

スミレからはすぐに返事がきた

『今、何してる?』

『寝る準備中』

『ベランダに鍵は?』

『してないよ』

『そうか』

『瑛ちゃん、どうしたの?
何か悩み事?』

鋭いメールだ
思わず苦笑した

『スミレが恋しいだけ』

『よく言うよ
私を振ったのはどっち?』

『俺様だけど、何か?』

『なら
寂しくても我慢でしょ』

『我慢できてないって言ったら?』

『抱かれてもいいよ』

フッと笑いがもれる
本気で言っているスミレが
想像できる

『抱かないよ』

『抱かれたくありませんから
ではおやすみなさい』

スミレらしい受け答えだ

きっとベッドの中で泣いている
俺に抱かれるかもって期待して

でも
抱かれないとわかって
また一人で
悲しむんだ

いい加減
俺も忘れないとな

未練たらしい男は
嫌われる
< 35 / 134 >

この作品をシェア

pagetop